【TSG】6/25(木)開催:テクノロジードリブンな起業家たち

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みなさん、こんにちは!

本日は、去る25日に行われたTOKYO STARTUP GATEWAY2020のオンラインセッション、「テクノロジードリブンな起業家たち」の内容をお送りします!

TSGとは

ゲストスピーカー(3名)

●株式会社CuboRex COO 嘉数正人 氏 (以下:嘉)
ねこ車(運搬用一輪車)のインホイルモーター、小型キャタピラーなどの開発・販売を行う。人と機械の協業を目指す。

HP / Twitter

 

●株式会社Arblet 代表取締役 清水滉允 氏 (以下:清)
日常生活における生体情報を連続計測できるウェアラブルデバイス等を開発。24時間の情報を解析することで、ヘルスケアの域を出て、医療機器として活用されることを目指す。

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●N-Sports tracking Lab合同会社 CEO 横井愼也 氏 (以下:横)
ウインドサーフィンを始めとした水上スポーツのパフォーマンス分析が可能な製品を開発(感覚をデータ化)。また、レース中の状況が見えづらい中、選手一人ひとりの位置情報を確認できる製品も開発。

HP / Facebook

Q1. テクノロジーで世界を変えていく楽しさは?

(横):海のF1と呼ばれるウインドサーフィンは、ニッチな市場。競争がなく、やったもんがちなところがあり、楽しい。

データ分析用の類似製品は元々あったはずだが、海外の人から問い合わせが殺到し、丁度良い製品がそれまでなかったことに気づいた。
レッドブルの水上スポーツの大会から問い合わせがあり、三日後にサンフランシスコに来てほしいとの連絡があったことも。

 

(清):作っている製品は、家の中で利用でき、医者が行けないところで活用できる。新型コロナウイルスの状況下で再認識したが、そういった点で貢献できている実感がある。

また、研究の側面から言えば、データを扱って今まで気がつかなかったことに気づける楽しさがある。

 

(嘉)会社の成長(売り上げなど)と技術面の成長、その両方が感じられるのが楽しい。

自分たちの製品が扱われる農業分野は、技術とは異なる変数の課題がある。
例えば、50代以下の方とのコミュニケーションは、それ以上の方とは異なる。そういったことを考える難しさはある。

Q2. 事業を行う上で、今まで辛かったことは?

(嘉)チーム作りが大変。具体的には、人の採用と解雇。
代表が技術を担当し、自分が会社の経営と人の採用を担当している。

 

(清)自社の製品を、相手先の企業などに説明するのが大変。
説明が専門的すぎて伝わらないこともあり、言葉を直し、内容を伝えきれるように工夫している。

―相手先企業に伝わっていないと感じるのはどんな時?(参加者より)

(清):喋っていて明らかに聞いていないと思われる態度をされる時。そういう時は結局うまく話がまとまらなかったりする。自分の場合、技術系出身でない、ビジョンに共感して会社をまとめている方がおり、まずその方に話が伝わるかで判断している。

 

(横)何といっても開発費が必要な領域。
デバイスやシステムがない状態から始まり、ハードウェアは作れるが、品質の担保が難しい。

苦い思い出として、ある水上スポーツの大会で実証実験を行うことになったが、バッテリーの消耗時間に誤差があり、選手が水上で行方不明になった時、製品により位置を特定できなかった。
最終的には選手も見つかったが、開催側は誰も口をきいてくれず、犯罪を犯したかのような空気になった。

海の上で精密機器を扱うので、こういったことは起こりうるし、実証実験であることは先方も承知していた。作っている製品は、安全管理が第一のテーマではないが、そういう用途での利用が期待されるのは分かるため、そういった点のバランスを取るのは課題。

―品質担保への信頼が失墜したところからの回復において、一番相手に響いたことは?(参加者より)

この場合、契約上では承知されていたはずだが、やはり伝え方を工夫する必要はある。
時には、お客様の都合に合わせて、開発時間が十分に取れないことを承知の上で、超短期間で製品を作ることもある。

(こういった問題が起きたとき、)ただ謝罪してほしい方もいれば、原因などを調べて説明してほしい方もいる。後者の場合、何が原因と見られるのか、次回はどの部分を直して改善するかを説明する。それが自分たちにできる最大限のことで、また選んでくれるかはお客様の判断になる。

―製造・安全・工程・品質管理に強い方は、どこの製造業にもいらっしゃると思うが、人材ハントはどうやって行っている?(司会:長田さんより)

・ソフトウェア…大企業出身のSEが集まってきている。
・ハードウェア…作るのに数千万かかり、実験機会が少ない中で一定の品質が求められる。自社で全部やろうとせず、その道の長い方に外注している。このパートナーを見つけるのに2年かかった。

Q3. 自社の技術の強みや可能性を実感した瞬間は?

(嘉)①顧客のニーズに合わせた技術の使い方、②自分たちの独自性、③大企業が手を付けられない点、この三つが交わる点を発見した時。

自社について言えば、メンバーはほぼ20代で、論文の能力や課題の深堀りには長けているが、ビジネスの場ではそれだけでは通用しないため、①~③が交わるところを発見できると嬉しい。

特許を取るレベルの発明でも、実態は「今までとちょっと違う」、というぐらいのこともある。

 

(横):①(扱っている機器で)データを取るだけでなく、そのデータをどう組み込んでより早く競技ができるのか考えられること。そのスポーツのより良いやり方を、自社製品の技術を使ってサポートできること。

②強みと言えるかは分からないが、自社製品の特徴として、扱っているデータ量が「クレイジー」と言われるほど膨大なことが挙げられる。

今は、消費電力が小さく、長く持ち、小さなデバイスにすることがトレンドで、特に大企業の方針。
Google元社員で自動運転などの研究をしていた人が、一度協力してくれたことがあったが、データ量がクレイジーと指摘があり、大企業からもけなされていた。しかしその後、世界のトップチームから製品を利用したいと声掛けがあった。

人に着けるものだから軽いほうが良いだろうというのは作り手の想いだが、ユーザーからすると、データがきちんととれるかのほうが大事で、世界から声掛けをいただくことで、それを実感できた。

また、水上スポーツだけでなく、自転車競技など、あらゆるところに応用できるのでは、と感じた。

 

(清)医療機器水準のデータが出た時。
医療の現場で使えるようにして、それを大手が使いたいと言ってくれる時。
開発初期に反応がすぐれなかった相手が、1年くらいして話を聞きに戻ってきた時。

―実証実験には、三ヶ月から半年ぐらいで何かを見つけなくてはいけないという難しさがあると思う。どう対処している?(司会:長田さん)

(清):多少の誤差はありうるが、どういう実験をするかで、結果が出るかどうか9割方決まる。
そのため、計画には口を出し、初期からクライアントと内容をすり合わせるようにしている。

Q4. ご自身のキャリアについて、テクノロジー分野での起業を決意した理由は?

(嘉)自分は、色々な選択肢を考慮に入れて計算してキャリアを選んだ方だと思う。
学生起業をして失敗すると就職しやすいというような事情を聞いていたため、まずは起業した(最初に起業した会社は廃業)。

起業に関してリスクを感じるのかもしれないが、ちゃんと知識を入れていくと怖くない。

 

(清)起業に対するデメリットを特に感じなかったから。また、自分がやりたいことを一番やれそうな選択肢だったから。
海外の大学で研究し終え、たまたま起業の機会があったから飛びついた形。

TSGに参加し、投資家などと話をすることで、資金的なところも含めて協力を得られそう、やれそうだなと感じた。
起業に失敗したとしても、研究実績があれば、大手企業にも、大学での研究生活に戻れると思った。

 

(横)(様々な経緯があり、)自分の場合は当然の流れだった。

大学院で医療技術の研究をしていた時、「世界に名を残す何か」をやってみたかった。

とりあえず大手の富士通へ入社し、名古屋で働いていた。残業時間や顧客層など、様々な困難があり、最終的にうつ病になった。三ヶ月会社を休むよう指示を受け、毎日釣りをしながら、自分は何をしたいのか考えた。

その後、新しいことをやろうと言ってくれる人が現れ、名古屋から東京へ。新規事業をサポートする部署に配属され、自分は事業を起こしたことがなかったため、勉強がてらTSGに参加した。その時は、頸椎ヘルニアで左腕が上がらない状態だったが、一日も早く、(趣味で始めてのめり込んだ)ウインドサーフィンの世界でプロになりたかったので、その方法としてデータ解析する製品を開発していた。

セミファイナリストまで残り、独立するか会社に残るか迷っていたところ、粋な役員さんからタイミング良く、採算度外視で色々なチャレンジができるような部署に入れてもらった。オリンピック選手から問い合わせがきたり、NHKで特集されたりもして、2年間思う存分自分の関心のあることを研究できた。

2年後、上の方が変わった段階でそれを続けることができなくなり、数字を握る方がやらないと言ったら絶対やらないのは分かっていた。起業の損得を考えるまでもなく、「2年間ありがとう」という気持ちで独立を決意。やはり、「世界を変えるようなもの」を作りたかった。

Q5. いかにして開発資金を集め、それをどう最大限運用しているか?

(嘉):最初はC(個人)向けのスケートボードを作っていたが、資金が枯渇しかけたため、3か月かけてエンジニアを説得、キャタピラーの技術を用いてB(企業)向けの製品に切り替えた。

お金を稼ぐことに意識が向くと、チームのみんなの目線が変わる。技術として良いものを目指すのももちろん良いが、顧客が喜んでお金を払ってくれるものを作るのも大事。

 

(清)資金集めは、常に自転車操業的。
バーンレート(資本燃焼率:会社を保つのに必要な一ヶ月あたりの資金)は、ハードウェアの場合数千万、実験の場合数百万が必要となる。
明確なスパンが決まっているわけではないが、大体半年から一年に一回は資金調達が必要で、常に課題。

テクノロジー分野のベンチャーは、お金のことを知っている人がいなくて困る人が多い印象。
自分の場合、CFOポジションにベンチャーキャピタル(成長が見込めそうなベンチャーやスタートアップ企業に投資する組織)出身の方がいる。うまく言語化してくださるので、投資家のところを一緒に回ってもらうことで、うまく投資を受けられるようにしている。

 

(横):自分の場合、大企業の知り合いが出資してくださり、起業の際、たまたまお金がある状態だった。

自社の研究の実証実験は、大企業での2年間でできた。特許は会社に10個くらい置いてきて、独立も応援してもらった。ソフトウェアは独立後に作り直した。

小規模商談については自己資金で行っている。

また、国のプロジェクトと方向性が一致し、名指しで依頼を受け、うまく資金を得ることができた。
人工衛星促進事業を行う経産省の外郭団体が、日本製のGPSを現在4つのところ、7つに増やすことを目標としており、東京2020で活用し、アピールしたいという意図があったようだ。
位置情報+災害情報を衛星から直接漁業関係者に伝えられるという面でも、活用ができる。

ただし、新型コロナウイルスについては予想外だった。
スポーツは不要不急としてみなされやすく、スポーツイベントは全部キャンセルとなった。
ラッキーなこととしては、自粛中に集中し、トレーニング用の分析システムを作り上げることができた。すでに何社かに導入されることが決まっている。

参加者からのQ&A

Q. PoC(概念実証:試作の前段階における検証など)にあたり、デバイスはどう選ぶか?自作するのか?  → 全員

A.
(清):自作する。デバイスとデータ両方自社のものにできる。

(嘉):PoCであれば何でもいい。自作にはこだわらない。顧客は表層的に現れるものにしか関心がない。

(横):自作する。知識ゼロの段階ではんだづけから。

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Q. スタートアップ企業として、高品質なサービスを作り続けられたのは何故? → 横井さん

A.
(横):決められた日にきちんと動くか自分の目で確認する。ダメならできるまで寝ない。
エンジニアの方にはリモートで開発を進めてもらっているが、受け入れ条件(得たい成果)と期限を明確にしている。プロダクトオーナーである自分のOKが出るまでやってもらう。

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Q. 人・モノ・金のうち、どれを得るのが一番難しいか? → 全員

A.

(横)自分の場合、全般的に恵まれてきている。
人に関して言えば、ボランティアで手伝ってくれる人も10人くらいいる。
強いて言うなら、お金かな。ニッチな分野なので、企業価値を上げ切ってから調達するほうが効率的だと思っている。

 

(嘉)事業が軌道に乗ってきてからは、人・モノ・お金、ループで難しい。その都度解決している。

欲しい人材は欲しいタイミングで現れないし、モノは中国など海外から仕入れていたものがコロナの状況下で困難になり、お金に関しても4ヶ月ごとに頭を悩ませている。

起業とはそもそも、「崖から落ちている間に飛行機を作るようなもの」という言葉もある。

 

(清)全部大変。辛いけど、同時に楽しい。
人に関しては恵まれている。

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Q. 資金集めで苦労したことは? → 全員

A.

(清):自分の場合、アイディアだけで、モック(mock-up)がない状態で資金調達できた。
資金調達にあたっては、悲しいくらい投資家に断られるので、根性の問題もある。

 

(横):起業前、大企業で自由に研究できた2年間があったため、「あなたとやりたい」と初期の段階で言ってくれる人がいた。スタートアップとしては珍しいかもしれない。

始めは政策金融公庫にもお世話になり、後々国の補助金なども活用した。

本当にやりたければ、お金を提供してくれる人は絶対いる。

(清):それは本当だと思う。自分のやっていることが響く人は絶対にいる。

 

(嘉)行動していれば、大体資金は得られる。
TSG中は、モックを作ってやったほうが受けがよかった。

創業時はモックがなくても500万ぐらいは集まるもの。
投資家に進捗状況を見せるときは、相手が求めているものをフェーズごとに見極める。

モノづくりを志す人へメッセージ

(清)自分がしたいことをとにかく、独り言ぐらいのレベルで言い続けるといい。そうすると、段々形になってくる。

 

(嘉):自分の場合、技術先行ではなく、経営をするにあたって技術分野を選んだという順序。
技術特化型の人は、気の合う人(経営担当)を見つけると事業が推進されると思う。
TSG参加中にそういう人を見つけている人も多い印象。

 

(横):テクノロジー分野に限ったことではなく、「自分なりの車」を走らせればいいのでは?

車の運転に例えるが、エンジンが心、ガソリンがお金だとすると、早く走らせようとすればガソリンの消費量は当然大きい。そういう、技術(又は成長)競争だけにこだわらず、あなたらしさを大切にして、自分なりの車で、速さで、事業をすればいいのではないかと思う。

カチェトナの独り言

(※理系の方の特徴なのか、みなさん言葉に無駄がなく、メモを取るのに必死でした。笑

そしてカチェトナが聞いたこともない横文字が連発されたため、同じような方向けに、言葉の意味の注釈をつけてみました。笑)

 

まったくお角違いの分野のセッションに参加してしまいましたが、学ぶことや発見がたくさんありました!

嘉数さんのように、経営の舞台として技術分野を選んだという話は面白いなと思いました。

清水さんのように、若くして自分の進む道を一直線に歩いているのは、おそらく年代が近いであろうカチェトナにとって、とても刺激になりました。

これからの時代に、多くの人にとって役立つものを作ろうとしていて、そこに目をつけたことも、その専門的分野での研究ができる知識があることもすごい…

また、横井さんのように、紆余曲折ありながらも、「プロウインドサーファーになりたい」という、ニッチかつ個人的な領域でビジネスを軌道に乗せているのも面白いなあと思いました。

そして海を愛する人らしく、笑顔がとても素敵でした(*´▽`*)笑

 

ここまで5回のセッションに参加させていただき、皆さんが共通しておっしゃっているように感じたことをまとめてみます!笑

「人と比べなくていいから、好きなことをやりなさい。想いさえあれば、人・モノ・金は何とかなる。事業の方向性がはっきり見えなくても、やりたいと思う何かが少しでも芽生えたら、とにかく口に出せ!」

 

起業の目的は様々だと思いますが、TSGというビジコン自体が、新しい価値を作る人たちに向けたもので、そういう方向性の人が多いのかなと思いました。

そして、東京都主催というところからも、日本の首都を世界のイノベーションの中心地にしたいというような心意気を、勝手に感じたカチェトナでした。

 

参加させていただいた5回のセッション全て、起業を志す人に参考になる話ばかりでした。

運営の皆さん、ゲストスピーカーの皆さん、本当にありがとうございました!!(*´▽`*)

 

カチェトナ。

 

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